OEM製造って何?

OEM製造(Original Equipment Manufacturing)とは、受託加工会社(通称:OEM会社)が依頼者であるお客様(販売会社;依頼会社)の商品(他社ブランド)の製造・供給するものです。健康食品サプリメントの場合、主にオリジナルの商品設計・デザインで、依頼者のお客様の好きなように作られます。

※健康食品サプリメントのOEM製造では、受託加工会社が商品設計などの提案も行うODM(Original Design Manufacturing)が一般的に行われています。

OEM会社には、自社工場の有無、工場の設備・規模や取得認証などにより、得意分野も異なってきます。
OEM会社の選定は、工場の規模などを加味して、的確に行う必要があります。まずは、各OEM会社の特徴をまとめてみました。

OEM会社の特徴

大手受託加工会社

売上100億円以上で、複数の自社工場を保有したOEM会社です。

コンプライアンス面もしっかりしており、品質管理基準も厳しいです。
基本、大手販売会社の受託加工を中心に請け負っております。そのため、顧客は、製造のプロが中心であり、より深いサービス提供を特徴としております。

多くの剤形に対応しており、供給キャパは大きいですが、最小ロット設定も大きいのが特徴です。
大きいロットにならないと安くならない傾向もあり、小規模ビジネスには、適していません。営業マンの目標売上額も大きいため、小ロット案件の依頼では、レスポンスが悪いケースも多々あります。
しかし、加速試験などを実施する企業が顧客の中心であり、堅実な商品開発が特徴です。機能性表示食品の商品開発も得意です。

最小ロットで3000~5000個、経済ロットで1~3万個というのが一般的です。また、標準納期は、中堅受託加工会社や中小受託加工会社より長く、新規の短納期の案件には適していません。

適正販売者の概算売上:10億円以上

剤形別の概算バルク最低ロット

・錠剤:100kg

・ハードカプセル:10万粒

・ソフトカプセル:10~20万粒

・顆粒:100kg

中堅受託加工会社

売上50億円以上100億円未満で、自社工場を保有したOEM会社です。大手販売会社の受託加工だけでなく、中小企業の受託加工も請け負っていることが多々あります。

それなりの供給キャパを有していますが、剤形によって得意不得意があり、一定の剤形のみ、大きな供給キャパを有していることがあります。錠剤や顆粒などの受託は行わず、カプセルに特化した会社も存在します。

単品通販など、多くの商品(剤形)で展開する予定がなければ、良いパートナーになり得ます。

大手受託加工会社ほど最小ロットは大きくないですが、小規模ビジネスには、ちょっと最小ロットが大きいケースもあります。一方、小規模ビジネスに対しても、それなりのスピード感をもって対応してくれる会社も存在します。最小ロットで1500~3000個、経済ロットで1万個というのが一般的です。

適正販売者の概算売上:1億円以上

剤形別の概算バルク最低ロット

・錠剤:60kg

・ハードカプセル:5万粒

・ソフトカプセル:10万粒

・顆粒:60kg

企業掲載

今後、企業例を紹介したいと考えております。原料事業で弊社とお取引のある受託加工会社様で、掲載をご希望される場合、弊社栗山までお問い合わせくださいませ。

中小受託加工会社

売上50億円未満で、自社工場を保有したOEM会社です。中小・零細企業や個人事業主(クリニックやサロンなど)の案件も多く請け負っています。 中堅受託加工会社と同様、剤形によって得意分野があります。

ソフト面で勝負している会社が多く、大手受託加工会社に比べて小回りが利くという特徴も有します。また、コンサル型で製造サポートを行い、初心者の方に優しいサービス展開を行っている会社も少なくありません。

供給キャパは、大手・中堅受託加工会社に劣りますが、小ロットに対応しているのが強みです。ただし、小ロットから比較的安いという理由もありますが、ロットが大きくなっても、それほど安くならない傾向があります。最小ロットで500~1000個、経済ロットで5000個というのが一般的です。

剤形別の概算バルク最低ロット

・錠剤:30kg
・ハードカプセル:3~5万粒
・ソフトカプセル:8~10万粒
・顆粒:30kg

セットアップ工場(充填・包装専門工場)

自社工場を保有していますが、錠剤やカプセルの製剤設備を持たず充填・包装のみを行うOEM会社です。中小受託加工会社(極稀に中堅受託加工会社)の一部が該当します。

※食品は、最終的に包装を行った会社が製造者になります。

得意剤形の幅が広く、最小ロットが比較的小さいケースが多いです。提携先の製剤加工工場があり、大きなロットでない限り、コストに大きな差はございません。

また、セットアップ工場での製造は、機能性表示食品を除き、製剤委託先まで開示する必要がないため、原料の調達先や製造ノウハウが漏れにくいという特徴も有しております。近年、製造所固有記号から製造工場を調べてコピー商品を同じ製造工場で製造しようとする会社も増えているため、コピー商品対策の一環でセットアップ工場を用いている販売会社も存在します。

製剤専門加工工場

錠剤やカプセルの製剤設備だけを持つ工場です。
云わば、黒子の存在。

セットアップ(充填・包装)を行わないため、販売者からの受託加工を受けることは、ほぼありません。主にOEM会社の下請けです。製剤専門加工工場の主な顧客は、セットアップ工場であり、複数のセットアップ工場と取引しています。

極稀に、大手・中堅受託加工会社の下請けも受けていることもあります。

基本、賦形剤以外は、ほぼほぼ支給する必要があります。ビタミンすら在庫していないケースがほとんどです。
完全に、黒子に徹している会社さんがほとんどです。そのため、ホームページすら持っていない会社さんがほとんどです。

ファブレス企画会社

自社の工場を持たず、提携先などに製造を委託し、商品を供給するOEM会社のタイプです。

案件規模や案件の特徴により、最適な工場を選定して製造を進めることが可能です。自社工場を保有していると、自社工場を使わざる負えない状況が生じますが、そういった問題も起こりにくいです。

企画力だけ勝負している会社さんも存在しますが、中には、原料メーカーのOEM事業のように、原料という武器を持ってサービス提供を行っている会社も多く存在します。

勝っているファブレス企画会社には、何らかの勝っている理由が存在します。その理由を見極めて、上手く利用するのが良いでしょう。

なお、最低ロットや経済ロットは、利用される協力工場によって異なってきます。基本、利用される協力工場の最も小さなロットが最小ロットになります。小ロットに対応した会社もあれば、大手受託加工会社と提携し、大きなロットにしか対応していない会社も存在します。

PR:本サイトを運営している株式会社アンチエイジング・プロは、グループ会社のセットアップ工場と自社原料を活用したファブレス型OEM会社です。初めての方に優しく、スピード重視のサービス提供を特徴としています。

OEM会社の選び方

まず、スタート時の製造ロットから適正な受託加工会社の目安を知りましょう。

スタート時の製造ロット別の最適受託加工会社

3000個以上大手受託加工会社、中堅受託加工会社
2000個以上大手受託加工会社、中堅受託加工会社、中小受託加工会社
1000個以上中堅受託加工会社、中小受託加工会社
1000個未満 中小受託加工会社

なお、1000個未満に対応している中小受託加工会社は、最低ロットを500個以上などと定めている会社も多いです。また、さらに小ロットの500個未満に対応している受託加工会社は、自社バルク商品を活用したパッケージ替え商品にのみ対応しており、商品設計に成約があるケースも多々あります。
ご注意ください。

次に、どんな剤形の商品を作るか決めましょう。

各受託加工会社は、得意剤形が存在します。例えば、カプセルは得意だけど、錠剤加工は下手という会社や顆粒の味付けが全くできないという会社も存在します。また、自社で製剤設備を持っていない会社も存在します。

一方、自社で製剤設備を持っていない会社(セットアップ工場やファブレスのOEM会社)は、得意分野の製剤加工会社(主に製剤専門会社)に委託しているケースも多いため、製剤設備を持たないからと言って、選択肢に入らない訳ではありません。

例えば、原料メーカーのOEMのように、ファブレスのOEMでも、一定の原料を多く配合する場合、価格競争力も兼ね備えた良い商品を作れるケースもあります。もし、使用したい主材原料が決まっていて、その原料メーカーがOEM供給に対応している場合、原料メーカーにも依頼してみると良いでしょう。

なお、短納期(商品開発開始から2ヶ月未満)での商品開発が求められる場合は、大手受託加工会社より中小受託加工会社の方が適していることが多いです。また、中小受託加工会社やファブレスOEM会社は、中小・零細企業をメイン顧客としてるため、コンサル色が強めのサポートを行っており、初めてのOEM製造の方には適した会社が多いです。

OEM会社の供給条件の違い

各OEM会社では、規模や会社の方針によって、供給条件が異なることが多いです。

例えば、試作費を取るOEM会社もあれば、試作費を取らないOEM会社も存在します。大手受託加工会社では、大口既存顧客に対してのみ、試作費を請求しないケースがほとんどです。一方、小さな案件かつ未確定な案件で試作費をOEM会社が負担した場合、成約しなければ赤字になるため、小さな案件を中心に請け負う中小受託加工会社は、試作費を別途請求することがほとんどです。

また、OEM会社によって、納品形態が異なる場合が多いです。基本、1000個の商品を製造しようとしても、ロスなどが生じるため、必ず1000個±10%程度で製造されてしまいます。この±10%の商品も納品する形態を出来高納品(製造された商品全量納品条件)と言います。反対に、1000個しか納品しない条件を定数納品などと呼びます。
定数納品での条件では、ロスを加味して多めに製造された余剰分がコストに乗るため、必然的に割高になります。近年、SDGsの観点からも、出来高納品での形態を指定する販売会社も増えておりますが、一部の大手企業は、定数納品でしか認めないケースが多いです。
取引の際、必ず見積条件が出来高納品なのか?定数納品なのか?の確認が必要になります。

さらに、パッケージなどの包装資材も供給してくれるOEM会社もあれば供給してくれないOEM会社も存在します。もちろん、供給してくれなくても、印刷会社などを紹介してくれるケースがほとんどです。
OEM会社の中には、会社の方針として、パッケージまで含めた商品供給を中心としている大手受託加工会社も存在します。案件によっては、資材在庫までOEM会社が持っています。コストより手間のなさを選択する大手企業向けのサービスと言えるでしょう。

OEM会社選びのケーススタディ

1600個  

ハードカプセル
少ロット対応の中小受託加工会社
21000個  

錠剤
中小受託加工会社
31500個  

錠剤
錠剤が得意な中堅受託加工会社もしくは中小受託加工会社
43000個  

ソフトカプセル
ソフトカプセルが得意な中堅受託加工会社もしくは中小受託加工会社
55000個  

ハードカプセル
カプセルが得意な大手受託加工会社もしくは中堅受託加工会社、中小受託加工会社
620000個 

ソフトカプセル
大手受託加工会社もしくはカプセルが得意な中堅受託加工会社